インドネシア人採用が、「ベトナム・中国に次ぐ第二の主役」として国内企業から注目されています。
なぜ近年、ここまでインドネシア人採用が注目されているのか?
本記事では、インドネシア人材を専門に取り扱うJAPANNESIAが「2025年時点の最新動向、制度の概要、採用フロー、成功事例・文化対応」などをゼロから分かりやすく解説します。
これから「インドネシア人材の採用」を検討している企業の方は、ぜひ参考にしてください。
インドネシア人採用に興味があるけど、いろんな情報が出てきて全体像が掴めていない…
インドネシアは、近年最も注目されている外国人採用の注目国です。インドネシアを専門にしているJAPANNESIAが、はじめての方にもわかりやすく「インドネシア人採用」のAtoZを徹底解説します。
まずは、外国労働者市場のデータから見ていきましょう。
厚生労働省の資料によると、2024年10月末時点で国内で働く外国人労働者の数は、230万人を突破するなど勢いを増して増加しています。ここ10年間で約3倍ほどに規模を拡大していることからも、外国人採用が企業にとってかかせない重要なセクターとなっていることは間違いないでしょう。
それでは、外国人採用市場の中でもインドネシアはどうでしょうか?
厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめのデータから分かるインドネシア人材の傾向は以下の通りです。
(1)国籍別増加率・・・2022・2023年に1位、2024年は2位と急成長
(2)対応産業・・・ベトナム人材が得意とする産業はもちろん、医療・福祉業などで活躍
(3)在留資格別・・・労働者数の内訳のうち「特定技能」の構成比が25.8%と最も高い
各項目を詳しく見ていきましょう。
国内で働くインドネシア人労働者数は、2022年で77,889人から2024年には169,539人と大きく増加し、爆発的な成長を続けています。
インドネシア人材の前年度増加比
2022年度(1位):+25,079人(前年度比:47.5%)
2023年度(1位):+43,618人(前年度比:56.0%)
2024年度(2位):+48,032人(前年度比:39.5%)
国籍別の増加率で比較すると、ここ数年間首位を走り続けており、外国人材という枠組みの中でも「インドネシア人材」が特に注目されていることが分かります。
インドネシア人材が「ベトナム・中国に次ぐ第二の主役」と言われている由縁が、さまざまな業種で活躍できるバランス力を兼ね備えている点です。実際、ベトナム人材が得意とする「製造業」「建設業」などをはじめ、ダイレクトに顧客と対話が求められる医療・福祉業などを中心にインドネシア人材の受け入れが進んでいます。
円安などの影響により、一部の外国人材のなかで「日本離れ」が進んでいる中、安定してさまざまな業種に対応できるインドネシアに需要が高まっている傾向があります。
2019年から施工された「特定技能制度」では、外国人が海外から日本に働きにくる場合、「日本語試験」と「技能試験」の両方の合格が求められます。
出入国在留管理庁の発表によれば、インドネシアは特定技能の受け入れ国としてフィリピン、ベトナムに次ぐ第3位の規模となっており、国籍別の在留資格割合で見れば、特定技能外国人のシェアが最も高い国であることが特徴です。
これらのデータからもわかる通り、インドネシア人材は多様な業種で柔軟に活躍できる「オールラウンダータイプの外国人材」であるといっても過言ではないでしょう。
インドネシア人材の採用は今や一時的なトレンドではなく、構造的に必要不可欠な人材戦略の一部となりつつあります。
それでは、この章でインドネシアの国や現地人材の特徴について解説していきます。
インドネシアは東南アジア南部にある国で、約18,000の島からなり、国土は日本の約5倍、人口は約2.7億人で世界4位です。
平均年齢は30歳前後と若く、インドネシア政府は若者の海外就労を国家戦略としており、積極的に支援しています。そのため、送り出し機関や人材の質も安定して高いことが特徴です。
インドネシア人材は、親日で、その人柄の良さ・まじめさ・学ぶ姿勢の強さから、多くの国内企業で高い評価を得ています。以下で詳しく解説します。
インドネシア人は一般的に温厚で、協調性があり、まじめに仕事に取り組む傾向があります。家族や人間関係を大切にする文化があり、日本の職場にもなじみやすいと評価されています。
これらを裏付ける根拠として、イギリスのチャリティー機関「チャリティーズ・エイド・ファンデーション」が発表した「World Giving Index(世界人助け指数)2024」が有名でしょう。
本機関が調査した結果によれば、インドネシアは世界人助け指数を7年連続で1位を獲得しています。
JAPANNESIAでもインドネシア人を専門に扱っていますが、彼らの人間性に魅力を感じる場面は数多くあります。
インドネシアの多くは、イスラム教で構成されています。イスラム教では、食事(ハラル)、礼拝、ラマダンなどの宗教的な文化がありますが、受け入れ企業側が基本的な配慮さえしていれば、これらが原因でトラブルになるケースはほとんどありません。
インドネシアでは、公用語として英語ではなく「インドネシア語」が使われています。
また、インドネシア政府は若者の海外就労を国家戦略として位置づけており、就労先の国の言語教育にも力を入れています。そのため、日本で働くことを目指す若者に対しても、日本語教育のレベルが比較的高い傾向があります。
実際に、2021年に行われた海外日本語教育機関の調査資料によると、インドネシアの日本語学習者数は世界で第2位を記録しています。
この背景には、国内の日本語教育機関の数や質の高さがあり、海外の中でも、これほどまでに日本での就労に特化して準備が整っている国は非常に珍しいと言えるでしょう。
インドネシア人が日本で働く主な動機は、「家族の生活を助けたい」という理由がよく挙げられます。
インドネシアは、他の国と比べても家族を大切にする文化が特に根強く、仕送りを目的に働く若者が多いことが特徴です。
また、インドネシアは親日国として知られており、アニメや漫画、四季のある環境(特に冬や桜)などに憧れを抱く若者も多くいます。
そのため、日本の文化に親しみを感じやすく、日本で働くことに前向きな人が多いのも特徴です。
2024年10月末時点で日本で働いているインドネシア人169,539人が、活躍している業種は以下の通りです。
1位:製造業:57,034(構成比33.6%)
2位:建設業:36,615(構成比21.6%)
3位:医療・福祉業:19,447(構成比11.5%)
4位:卸売・小売業:10,422人(構成比6.1%)
5位:宿泊・外食サービス業:6,270人(構成比3.7%)
特に注目すべき点は、高い日本語能力とコミュニケーションスキルが求められる分野の医療・福祉業や外食産業などでも、インドネシア人材の受け入れが進んでいることです。
従来の外国人労働者というと、工場などの裏方で働いているイメージを持つ方も多いかと思いますが、インドネシア人材は、直接顧客と対話するサービス業にも活躍の場を広げています。
コミュニケーションを伴う業務などで、柔軟に対応ができる人材が多い点も、インドネシアの魅力の一つといえるでしょう。
外国人材が日本で活動するためには「在留資格」が必要です。インドネシア人材が取得している在留資格は以下の通りです。
1位:技能実習:93,545人(構成比:55.2%)
2位:専門的・技術分野の在留資格(特定技能等):54,622人(構成比:32.2%)
3位:身分に基づく在留資格(永住者・配偶者等):7,423人(構成比:4.4%)
現在、日本で働くインドネシア人の多くは「技能実習」の在留資格ですが、最近では「特定技能」で働く人が急増しています。
特定技能制度は、日本語能力や専門知識などの一定水準の要件が求められる制度ですが、インドネシアでは、この資格を取得している人の割合が他の国よりも高いことが特徴です。
このような結果から、インドネシアが「ベトナム・中国に次ぐ第二の主役」になることが期待されています。
ここからは、インドネシア人材を採用する流れについて解説していきます。インドネシア人を現地から受け入れるステップは次の通りです。
➀監理団体を通じて採用計画の作成
➁インドネシア側の送り出し機関を通じて応募者の確保
③面接(現地またはオンライン)
④入国前講習(送り出し機関による講習)
⑤在留資格の申請・取得
⑥入国
⑦入国後講習(約1ヶ月間の日本語・専門用語教育・生活指導)
⑧実習開始
技能実習生としてインドネシア人材を受け入れる場合、採用決定から入国まで6ヶ月程度を見込むのが一般的です。
また、➀に記載する監理団体とは「外国人技能実習生と、それに関わる企業」を支援する非営利団体のことです。はじめてインドネシア人を採用するという場合であれば、監理団体へ相談することからはじめてみましょう。
➀特定技能外国人と雇用契約を結ぶ
➁受け入れ企業が登録支援機関と連携
③特定技能外国人の支援計画を策定する
④在留資格「特定技能1号」の申請(地方出入国在留管理局へ提出)
⑤入国ビザを申請(在外公館)
⑥生活支援計画の作成・支援体制整備
⑦入国・雇用開始
特定技能制度でインドネシア人材を雇用する場合は、外国人が在留資格「特定技能」1号を取得している必要があります。(ただし、各試験の合格前に内定を出すことは禁止されていません)
➁に記載する登録支援機関とは「特定技能を持った外国人と、それに関わる企業」を支援する企業・団体であり、主に在留資格「特定技能」による雇用の場合に支援を委託します。
特定技能外国人を受け入れた約8割の企業が、「登録支援機関」へ委託しているともいわれていますので、はじめてインドネシア人を採用するという場合であれば、インドネシアを専門にしている登録支援機関へ相談しましょう。
採用決定から入国まで:約6〜8か月
内訳:
・監理団体・送り出し機関との契約・調整(1〜2か月)
・候補者の選考・面接(0.5〜1か月)
・入国前講習(送り出し機関による)
・在留資格申請とビザ発給手続き(1〜1.5か月)
・入国後講習(約1ヶ月間)
技能実習は準備期間が長めですが、来日前に教育された状態で入国するため、就業後の定着率が高いのが特徴です。
採用決定から入国まで:約3〜5か月
内訳:
・日本語・技能試験合格者の中から選考(1か月)
・登録支援機関との連携・各種書類作成(0.5〜1か月)
・在留資格申請・ビザ取得(1.5〜2か月)
特定技能は試験を既に合格している人材を選べば、比較的短期間で受け入れが可能です。ただし、受入企業には生活支援義務(義務的支援)があるため、社内体制の整備も必要になります。
インドネシア人採用を行ううえで、注意しなければならないポイントがいくつかあります。
インドネシアの多くはイスラム教徒です。宗教を重んじる国であるため、
・1日5回の礼拝
・豚肉・アルコールを避けた食事の提供
・断食月(ラマダン)中の体調管理と配慮
など私たちには馴染みのない文化があります。
企業側もこうした文化的背景を理解し、適切な配慮をしてあげましょう。
インドネシア人は、他の国と比べても家族をとても大切にする文化が強い傾向にあります。
また、家族を非常に大切にする文化があります。これはどこの国でもそうだと思いますが、私の経験上インドネシアは特に強い傾向にあると思います。宗教的な教えから家族を大切にするというわけではなく、インドネシアの文化として家族を大切にすることが当たり前とされています。
参考:企業は「ポテンシャル採用」で採用するべき!JI TRUSTが語るインドネシア人採用の特徴とは
良くも悪くも家族からの意見で、物事が左右されるケースが多いです。
実際、JAPANNESIAでは現地に赴き、家族フォローをあわせて行っています。
これからインドネシア人採用に挑戦する人は、定期的に「家族を気遣う」などの言葉をかけてあげると定着率も高まるでしょう。
外国人採用全般に言えることですが、待遇は日本人と同等以上が求められます。
労働契約の段階でこれに反する場合、外国人が在留資格を取得できない可能性がありますので、外国人だからといって労働基準法に違反するような待遇は辞めましょう。
労働基準法などを犯した場合は日本人と同じように罰せられますが、外国人雇用で注意しなければいけないことが「違法滞在による雇用」です。
もし違法滞在者を雇用した場合は「不法就労助長罪」が適用され、意図があるかに関わらず3年以下の懲役もしくは 300万円以下の罰金またはその両方が科されます。
外国人を雇用するには必ず厳格なルールに沿った活動が必要であるということを覚えておきましょう。
これまでにJAPANNESIAが支援をしてきた受け入れ企業や関係者の事例を紹介します。受け入れ前の悩みからインドネシア人材の運用方法など細かくインタビューをしているので、今後のインドネシア人採用にお役立てください。
いかがだったでしょうか。
インドネシアは、外国人材が倍々に増える現代において最も注目されている国ですが、同時にインドネシアへの深い知見が要求されます。
監理団体・登録支援機関などに委託する場合でも、必ず「インドネシアの専門家」に相談してみることをおすすめします。
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著者プロフィール
上田 浩之
外国人雇用労務士。JICA事業でインドネシアに2度の渡航を経験。現地にて整備学校の立ち上げ・教育の責任者として従事。帰国後、インドネシアへの深い知見を活かし、JAPANNESIA株式会社を創業。