schedule ナレッジ

【2025年最新版】特定技能「飲食料品製造業」とは?基礎知識や仕事内容・企業が注意するべきポイントを徹底解説

代表取締役 外国人雇用労務士

上田 浩之

外国人採用が企業の人手不足の解消に期待されるなか、食品メーカーやスーパー、弁当・惣菜工場など幅広い現場で活用されている在留資格が特定技能「飲食料品製造業」分野です。2023年から制度が拡充され、2024年3月29日の閣議決定によりスーパーマーケットの惣菜部門などでの採用も可能になり、多くの企業が外国人材の活用を本格的に検討しています。

本記事では、特定技能「飲食料品製造業」の基礎知識や仕事内容、企業側が注意すべきポイントなどを徹底解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。


読者

うちも外国人を雇用したいけど、特定技能「飲食料品製造業」ってどんな制度なの?


上田

特定技能「飲食料品製造業」は、酒類を除く飲食料品の製造、加工、安全衛生など、飲食料品を製造する過程全般に従事する外国人材のための在留資格です。本記事で、基礎知識や最新の動向について詳しく解説します。

1. はじめに|飲食料品製造業で注目される「特定技能」とは?

1-1. 特定技能制度とはなにか?

特定技能制度は、2019年4月に創設された外国人労働者向けの在留資格です。外国人が日本で働く場合は「在留資格」と呼ばれる資格内容に基づいて活動を行っています。
特定技能には以下の2種類があります。

  • 特定技能1号:一定の専門性・技能を有し、即戦力として働ける人材(在留期間上限:通算5年)
  • 特定技能2号:より高度な技能を持つ人材(在留期間更新可/家族の帯同も可能)
特定技能1号特定技能2号
産業分野介護、ビルクリーニング、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業ビルクリーニング、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業
在留期間上限5年上限なし
更新法務大臣が個々に指定する期間(1年を超えない範囲)3年・1年または6カ月ごと
技能水準技能実習を良好に終えている、特定技能1号評価試験を合格特定技能2号評価試験を合格および監督者として一定の実務経験を積んでいる
日本語レベル試験結果の証明が必要(日本語能力試験N4以上)試験の証明不要
支援の有無支援計画に基づいた生活の支援が必須不要
家族帯同原則認められない要件を満たせば可(配偶者・子)
転職・転籍

1-2. 特定技能「飲食料品製造業」とは?

農林水産省の「飲食料品製造業分野における外国人材の受入れ拡大について」によると、令和7年1月末時点での特定技能「飲食料品製造業」における受け入れ人数は74,523人となっており、加工製造食品や清涼飲料の工程・スーパーマーケットなどのバックヤードで製造される惣菜の加工(お弁当、パン、カット野菜など)を対象にした外国人が取得する在留資格として注目されている制度です。また、飲料に関しては、酒類を除く清涼飲料などが対象となっています。

1-3. 特定技能「飲食料品製造業」1号、2号の違い

2022年までは、飲食料品製造業に特定技能2号はありませんでしたが、2023年には対象分野も拡大し、2号が追加されています。これにより、飲食料品製造業分野の特定技能は1号と2号に分類されます。

特定技能1号では、「飲食料品製造業全般(飲食料品(酒類を除く。)の製造・加工及び安全衛生の確保)」となっており、食材処理、機械操作補助、包装、検品、清掃などの基本的な業務に従事することが可能です。

  • (1) 食材処理
  • (2) 機械操作補助
  • (3) 包装、検品、清掃など

特定技能2号になると、1号の業務に加え、当該業務に関する管理業務も行えるようになります。外国人が2号を取得するためには、「飲食料品製造業特定技能2号技能測定試験」の合格と飲食料品製造業分野において、複数の従業員を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者としての実務経験が求められます。

2. 【比較表】飲食料品製造業で外国人スタッフを受け入れる6つの方法

2-1. 在留資格の種類

特定技能「飲食料品製造業」以外にも、本業界において外国人スタッフを受け入れることができる制度があります。

1.特定技能1号「飲食料品製造業」
2.特定技能2号「飲食料品製造業」
3.技能実習
4.資格外活動
5.特定活動46号
6.永住者・定住者

2-2. 在留資格別早見表

それぞれの受け入れ制度の違いについては以下の比較表をご覧ください。

比較項目特定技能1号特定技能2号技能実習資格外活動特定活動46号永住者・定住者等
目的即戦力の外国人を現場作業員として雇用リーダー・管理者として登用技能移転・人材育成学費・生活費補助のためのアルバイト専門性+現場支援専門性+現場支援
滞在期間最長5年(更新可)更新回数に制限なし(要件次第で家族帯同可)原則3〜5年週28時間以内最長5年(更新可)無期限
日本語要件JLPT N4またはJFT-Basic合格実務経験+高度な日本語力推奨(法的要件なし)不問(社内教育推奨)在籍する学校の履修状況によるJLPT N1〜N2程度が望ましい不問
試験有無1号技能測定試験と日本語試験2号技能測定試験技能実習評価試験不要不要不要
業務範囲食品加工・製造ライン・包装・検品・清掃など現場作業全般工程管理・品質管理・衛生管理・部下指導など加工・包装など定型作業中心(移転目的に限定)簡単な加工補助・盛付・清掃など補助業務限定店舗マネジメント・教育・通訳+軽作業など(現場単純作業は限定)制限なし(現場・管理・本社業務など何でも可)

特定技能「飲食料品製造業」の他に、技能実習や資格外活動でも受け入れが可能です。
ただし、業務範囲が限定されるなどの影響もあるため、労働力として受け入れたい場合には、特定技能が最もバランスの取れた在留資格として選ばれています。

2-3. 技能実習から特定技能への移行が活発

特定技能が選ばれている背景には、技能実習からの移行が活発であることが挙げられます。
農林水産省の「飲食料品製造業における外国人の受け入れについて」によると、令和7年1月末時点における「飲食料品製造業」分野の特定技能外国人のうち、技能実習2号修了者からの移行率は、全体の%を占める結果となっています。

3. 特定技能「飲食料品製造業」で可能な業務

特定技能「飲食料品製造業」で従事可能な業務範囲は以下の通りです。

【飲食料品製造業の業務範囲】
飲食料品製造業全般(飲食料品(酒類を除く)の製造・加工、安全衛生)

飲食料品(酒類を除く)の製造・加工とは、原料の処理、加熱、殺菌、成形、乾燥等の一連の生産行為等のことを指し、単なる選別、包装(梱包)の作業は製造加工にはあたりません。
また、特定技能2号は、上記に加えて、飲食料品製造業全般の業務に関する管理業務が可能となります。

特定技能「飲食料品製造業」の受け入れは、日本標準産業分類で以下に分類される事業所を対象範囲としています。

対象となる産業分類
「09 食料品製造業」
「101 清涼飲料製造業」
「103 茶・コーヒー製造業」
「104 製氷業」
「5621 総合スーパーマーケット」
「5811 食料品スーパーマーケット」
「5861 菓子小売業(製造小売)」
「5863 パン小売業(製造小売)」
「5896 豆腐・かまぼこ等加工食品小売業」

上記に該当するお店であれば事業規模に関わらず受け入れが可能です。酒類製造業、飲食料品小売業(細分類5861,5863,5896を除く)、飲食料品卸売業、塩製造業、医療品製造業、香料製造業、ペットフードの製造は対象とならないため注意が必要です。

また、複数の事業を行う場合は、売上げ等の確認をもって最も大きな割合を占める事業により、その事業所の分野該当性を決定します。

4. 受け入れ企業の基準要件

3-1. 特定技能外国人を受け入れるための要件

特定技能「飲食料品製造業」で受け入れる場合、適正な労働条件の設定、就業規則の説明、労働時間の管理など、法令を順守する体制が必須です。要件は以下の通りです。

特定技能外国人受け入れ体制の基準
(1) 雇用契約が適切であるかどうか(例:待遇が日本人と同等以上)
(2) 機関が適切であるかどうか(例:5年以内に出入国・労働法令違反がない)
(3) 【委託可】義務的支援の体制は適切であるかどうか(例:現地語で適切に支援できる)
(4) 【委託可】特定技能外国人の支援計画が適切かどうか(例:生活オリエンテーションなど)

特定技能制度では、外国人を「労働者」として正式に扱うため、正社員雇用である必要があります。受け入れ企業は、日本人雇用と同じく労働基準法などを遵守し、各分野での協議会への加入が必要です。

受け入れ企業の義務
(1) 雇用契約、労働基準法の遵守(例:労働時間の管理・報酬を適切に支払う)
(2) 特定技能外国人の支援を適切に実施
(3) 出入国在留管理庁への各種届出
(4) 食品産業特定技能協議会への加入(飲食料品製造業は農林水産省が管轄)

飲食料品製造業の協議会は農林水産省「食品産業特定技能協議会(飲食料品製造業分野・外食業分野)について」をご確認ください。

3-2. 特定技能1号外国人には「義務的支援」が必要

引用:出入国在留管理庁「特定技能外国人受け入れる際のポイント

企業が、特定技能「飲食料品製造業」で外国人材を受け入れる場合には、外国人に対し職場、日常生活、社会上の支援等を行うことが義務付けられており、これを義務的支援と呼びます。

義務的支援のなかには、日本語学習の機会や日本人との交流促進などの継続的な支援も入るため、自社で義務的支援を行うケースは全体の2割程度です。ほとんどの受け入れ企業は「登録支援機関」とよばれる支援機関に義務的支援を委託しています。

4. 特定技能「飲食料品製造業」で受け入れる注意点

4-1. 特定技能外国人は直接雇用でなければいけない

特定技能1号の特定技能外国人は、直接雇用の必要があり、派遣などの業態で受け入れることができません。義務的支援に関しては、2年間の受け入れ実績がない場合は自社支援を行うことができず、「登録支援機関」へ支援を委託しなければいけません。支援業務に違反すると法令違反となりますので注意をしましょう。

4-2. 他社からの外国人労働者の引き抜き雇用に自粛要請

特定技能「飲食料品製造業分野」では原則として転籍が可能ですが、業界全体の雇用秩序を維持するという観点から、他者からの引き抜き行為に自粛が呼びかけられています。

飲食料品製造業分野については、業種や規模に関わらず業全体として幅広く利用できるようになっており、飲食料品製造業分野の範囲内であれば、企業間、業種間の転職が可能となっている。

他方、新たな外国人材の受入れ制度を施行することにより、大都市圏等特定地域に外国人が過度に集中することや大企業への偏在が生じることが強く懸念されている。受入れ機関の間で無秩序な外国人労働者の引き抜きが行われれば、業界内の雇用秩序を乱すとともに、大都市への過度な集中を助長する可能性がある。

こうした点を踏まえ、大都市圏等特定地域に外国人が過度に集中することを予防する観点から、他地域で雇用されている外国人労働者を積極的に引き抜き雇用することを自粛することを申し合わせる。
引用:農林水産省「特定技能所属機関による外国人労働者の引き抜き防止に係る申し合わせ

5. まとめ

いかがだったでしょうか。特定技能「飲食料品製造業分野」は、2号の拡大やスーパーマーケット等の対象範囲が追加されるなど、今後ますます増加することが予想されます。外国人を特定技能で受け入れを検討している飲食料品製造業の方は、登録支援機関や紹介会社と密に連携をとりながら進めるとより安心できるでしょう。

特定技能「飲食料品製造業分野」で外国人の受け入れを検討している方は、登録支援機関であるJAPANNESIAに一度ご相談ください。

無料招待

外国人の雇用を検討されている方は、JAPANNESIAの60分無料オンライン壁打ち会をご活用ください。

著者プロフィール

JAPANNESIA株式会社
代表取締役 外国人雇用労務士

上田 浩之

外国人雇用労務士。JICA事業でインドネシアに2度の渡航を経験。現地にて整備学校の立ち上げ・教育の責任者として従事。帰国後、インドネシアへの深い知見を活かし、JAPANNESIA株式会社を創業。

pickup よく読まれている記事

外国人採用の資料やご相談など各種お問い合わせ