



山川様:当施設は、愛媛県内子町に拠点を構える福祉施設です。2000年に訪問介護事業からスタートし、地域密着型小規模多機能型居宅介護「さくら1」、サービス付き高齢者向け住宅(デイサービス等)「さくら2」、住宅型有料老人ホーム「さくら」の計3棟の施設を運営しており、現在60名の職員が働いてくれています。
ジャパンネシアさんとのご縁で、2025年度からインドネシア人スタッフを4名採用し、福祉の発展はもちろん、一緒に働いてくれているパートナーたちの未来や、内子町という街全体に寄与できるよう「地域貢献部」という部署を立ち上げるなど様々な取り組みに挑戦しています。

外国人採用を導入しようと思ったきっかけを教えてください
山川様:一番はジャパンネシアさんとのご縁がきっかけですね。もともと当施設は、人手不足でアップアップという状態ではなかったので、外国人を雇用する予定はありませんでした。様々な人材会社からも営業の電話を多くいただいていたので、外国人雇用にはやはり不安もありましたし、アンテナは張っていたけど逆に警戒しているところもあった。
福祉業ですから人財不足の課題には当然向き合っていく中で、「人がいないから代わりに外国人を雇おう」というよりかは「なぜみんな福祉から離れていってしまうんだろう」とか「福祉のやりがいの本質」についてずっと問いかける毎日でした。さくら介護で働いてくれているパートナーたちの未来を考えていたんです。そんなときにジャパンネシアさんと知り合って、外国人財に対する熱量だったりのフィーリングにとても共感できたんですよね。
また、話を聞くほど彼らの働く姿勢は私たち日本人が忘れかけているものではないかとも思ったんです。日本人や外国人という国籍や生まれで線を引くのではなく、「人」に重きを置いたことが今回の外国人採用のはじまりです。
外国人採用で一番不安に感じていたことや反対の声などはありましたか?

山川様:わたしが基本トップダウンのやり方ではなく、みんなでどうやっていこうかというスタンスなので、職員から目に見える反対の声などはありませんでした。反対の声はないけれど、内心教育のことや言葉の部分でみんな不安はあったんじゃないかなと思うんですよね。実際、外国人を受け入れて教育に多く携わるのは現場の職員の方々なので。
それでも、いま働いてくれている職員にリスペクトがあるので、膝をあわせてこういう気持ちで外国人を迎え入れたいんだという話をまっすぐに伝えたところ、じゃあやってみようかという雰囲気に徐々になっていきました。はじめての試みをする場合だと、トップに立つ人間の姿勢というのが大いに関わってくるのかなと感じますね。
外国人採用をするにあたり何社くらい検討されましたか?
山川様:ジャパンネシアさんともう一社だけですね。そこが技能実習生を扱っている会社さんで、特定技能との制度の比較をしました。わたしとしては、競争原理でどこまでウチがやれるのかという考えが根底にあったので、特定技能制度の転職OKという制度がプラスに感じたんです。技能実習生の場合だと転職も縛りがあってできないじゃないですか。そもそも縛っておかないといけないというルールがあまり好きじゃなかったんです。自由であるべきだって。いまもどうしたら職員がウチを選んでくれるか、働きやすくなるかをずっと考えています。
実際にインドネシア人を採用してみてどうでしたか?
山川様:思った以上に熱心に勉強してきてくれたなという印象がありましたね。レベルが高くてコミュニケーションがとりやすかったです。当初、習得までに3カ月程度見ていた業務を1ヶ月で全部覚えてくれました。仕事への姿勢や業務を覚える速さがこちらが想定していたもの以上だったので本当に驚いています。5カ月経ったいまでは、日本人と忖度ない業務全般を任せられています。彼女たちは人懐っこい方々なので、笑いが起きたり職場全体が以前に増して温かくなりました。
外国人を受け入れてからは、どのように職場で迎えましたか?

山川様:最初は、ウェルカムボードなどをつくって出迎えをしました。それから名前を覚えることからはじめて、1~2週間で日本人側も含めて慣れてきたかなという印象です。明確にみんなが溶け込めたなと感じたときは、忘年会のときでしたね。みんなで忘年会のおわりにカラオケにいったときも、歌を歌ってくれました(笑)

最初は、侘び寂びの文化がある日本人はどうしても遠慮しがちになりますけど、「彼女たちは関われば関わるほど人間味がでてくる」というお話は事前に伺っていたので、彼女たちが距離を詰めようとしたときに、意識的にこちらがコミュニケーションのブレーキをかけないようにしました。
職員の方々も、プライベートでおせっかいと言われるかも知れませんが、動物園などに連れて行ってくれたりしているので助かっています。わたしもこの間、彼女たちを自分の家に招いてみんなでタコパをしました(笑)
スタートさえいい形になれば、あとは雪解けするように時が解決しますよね。
先日、当社が開催した保育園との多文化行事にも業務の延長として参加をしていただけました
山川様:そうですね。そもそも福祉が人と関わる仕事なので、保育園の園児たちと交流を深めることは、地域貢献にもなりますし、彼女たちにとっても勉強になるものだと考えました。

ジャパンネシアさんが、こうした外部とのイベントを開かれたり、定期的な日本語勉強をしていただけるのですごく助かっています。
外国人職員の教育はどのような意識で取り組まれましたか?

山川様:とにかく体験させる・現場の業務に関わってもらうことですね。その中では当然エラーがあるけれど、それをフォローするのがわたし達の役目だと思っています。介護でも人財育成でもそうなんですが、変な先入観をもってはじめるよりも、真っ白な状態で日常の関わりのなかで答えを見つけていくことが大切だと感じています。
特に、わたし達が接している利用者は80代・90代の方が多く、戦争後の何もない状況を経験されているからか、価値観も経験値も断然上なんですよね。だから今回外国人を受け入れるという新しい取り組みをしても、すぐに適応して受け入れてくれた人が多いんです。そこでわたし達が「まだ関わりあうのは早い」みたいに判断せず、まず体験させる、関わってもらう、ミスがあったら助ける。そのなかで時間と共に成長していけるよう職員全体でフォローをしながら取り組みました。
入社後に印象に残っているエピソードがあれば教えてください

ヨウケンさん:今でも仕事が終わったら「おつかれさまでした!」とわざわざハイタッチをしてくれます。利用者からもファンがついているのを見ると、言葉ではなく姿勢でつながっているんだということを彼女自身が体現してくれています。
ウリさん:年齢に関わらずチームを引っ張れる勤勉さがあって、頭の切れる賢い子だなと思います。今でもリーダーとして十分やっていけるポテンシャルがあると思っています。朝礼の時に、急に話を振ると、咄嗟にふり絞りながら「がんばりましょう」といったり年頃の女性のような一面もあります。
今の日本人の80代以降の方は、我慢してきた世代で多様性や適応力もあるので、すぐに彼女たちの良さにハマると思いますね。
選考の際に意識していたポイントがあれば教えてください
山川様:選考では、日本語が上手かどうかではなく、伝えようとする姿勢であったり、どう自分の個性をアピールできるかというところを重要視していました。伝えようとしてくれる想いや姿勢を汲み取りたかった。
いま当施設で働いてくれているヌルさんは、インドネシアでお子様が生まれた直後に面接に参加してこられたんですよね。生まれたばかりの子供のために、すぐに国外に働きにでるという覚悟といいますか。「わたしにできないことを彼女は今やろうとしているんだ」と思うと惹かれるものがありました。
ヌルさんだけではなく、ウチで働いてくれているインドネシアの方々はみんな覚悟がある方だと。そういう人達を選べたと思っています。
最後にジャパンネシアの評価について聞かせてください

山川様:やはり伴走して支援していただけることで、色んな学びにもつながりますし勉強会やイベントを通して、彼女たちも地域の人間と関わりが持てることは非常にありがたいと思います。大満足です。
※掲載内容は取材当時のものです。